タイムズカーレンタル / 2015.2~ ホンダ・N-BOX G・Lパッケージ (FF/CVT)

New Next Nippon Norimonoのキャッチコピーでお馴染みのホンダの軽乗用車「N」シリーズの第一弾モデル「N-BOX」。
2011年に初代モデルが発売され、昨年2017年には二代目モデルへと移行しています。
二代目N-BOXカスタムの軽自動車初シーケンシャルターンランプも登場時こそ目を奪われましたが、最近では街で見かける機会も多くなりました。
そんな中今更ではありますが、私にも初代N-BOXに試乗する機会が訪れました。
平成27(2015)年7月登録とやや古めの車で、走行距離は7.2万km、傷や凹みも散見される、大手レンタカー会社らしくない一台です。
実はちょうど一年前に、ほぼ同時期に登録されたN-WGN(JH1)に試乗しています。
ナンバーもわずか9番違い。
二代目が登場した今初代N-BOXを見ると、二代目がキープコンセプトとはいえやや古さを感じてしまいます。
フロントからサイドへと繋がるホイールハウスをかたどった独特のプレスラインは、オーバーフェンダーのようにも見えますね。
縁もゆかりもないのでしょうが、この意匠は二代目N-BOXではなく、六代目ワゴンR(MH35S)へ受け継がれているような…。
二代目で大型化されたリアコンビランプは、初代の方がシンプルで好みです。
極限まで切り詰められたオーバーハングのせいか、とても長い車に見えます。
ライバルであるダイハツ・タント等と比べるとややウエストラインが高めでしょうか。
かなりAピラーは起きています。

今回試乗したN-BOXは、2015年2月に発売されたいわゆる後期モデル。
フロントグリルの意匠の違いが外観上の前期モデルとの見分け方でしょうか。
この半年ほど後にCグレードなる最も安価なグレードが追加されますが、発売当時は下から2番目にあたる「G・Lパッケージ」のFF・CVTモデルです。

当時の新車価格は137万円だったようですが、この車と同じくらいの年式と走行距離の中古車は未だに90万円前後のものが多く、値落ち率の低さに驚きます。
搭載されるエンジンはS07A型と呼ばれる新開発の直列3気筒DOHCエンジン。
もちろん上級グレードにはターボ仕様も存在します。
なんとこのエンジン、第2期ホンダF1に携わったメンバーが開発スタッフとして関わっているのだとか。
それゆえか、660cc自然吸気エンジンとしては高出力・高トルクである58ps・6.6kgmを実現。
二代目ではS07B型となり、軽自動車では初となるVTECが採用されているようです。

トランスミッションも新開発のCVTとなり、New Nextーと謳うだけあってN-BOXのために多くのリソースが割かれていることが分かります。
このCVTが結構ローギアードになっており、6.6kgmのトルクと相まって発進加速は申し分ありません。
ゼロ発進時のギクシャク感は電スロのせいなのか、CVTのせいなのか、アクセル開度を一定に保っていても、息継ぎのような挙動をするのが気になりました。
このギクシャク感はN-BOXに限ったことでなく、多くのCVT車で似たような挙動が出ますね。
60km/h巡航時でおおよそ2,000rpm。
660cc自然吸気であることを顧みると、結構頑張ってる方なんじゃないでしょうか。
この速度域では、エンジンサウンドは気になりません。
100km/h巡航時も3,000rpm強と決してうるさくはないです。
しかし高速道路への合流などの中間加速が致命的に悪く、毎回命懸けとも言えるレベルなのは頂けません。
特に上りながらの本線合流では、ベタ踏みで合流車線を目一杯使ってようやく100km/h出るか出ないかといった具合。
この時エンジンはレッドゾーン手前の7,000rpm付近まで吹け上がっているのですが、300km/h出てるんじゃないかというほどの轟音で、小さな子どもは泣き出しそう。
今回は成人2名乗車、5kgにも満たない荷物を積載している状態でこの有様だったので、フル乗車+荷物なんていう環境下では想像を絶する非力感を味わうことになってしまいそうです。

また今回は高低差の激しい大分自動車道を走行したのですが、上り坂ではみるみるうちに速度が落ちてしまうので、100km/hをキープしようとアクセルを踏み込むと平気で5~6,000rpmまで回ってしまいます。
平坦路を100km/h巡航では、声を張る必要もなく同乗者と会話を交わすことが容易なのですが、一度上り坂に差し掛かると耳を覆いたくなるほど。

数字だけ見るとダイハツ・ウェイク(LA700S)を上回るスペックを誇るエンジンを搭載していますが、ギア比のせいかN-BOXは著しく中間加速や上り坂が苦手なように思います。
自然吸気エンジンモデルは、完全街乗り限定ユーザーをターゲットにしているのかもしれません。
ECON(イーコン)をオンにすることでアイドリングストップ機構が作動します。
軽自動車ではお馴染みの完全停車前にエンジンがストップするアイドリングストップなため、停止直前にブレーキを抜いてカックンブレーキを予防しようとする運転スタイルでは、停車直前にエンジンが止まったり再始動したりしてかえってガクガクしてしまうのが難点です。
たまにカックンブレーキを防ぎつつエンジンの再始動も免れる停車もできるのですが、なかなか難しいです。
今回は返却までにそのコツを掴むことはできませんでした。
多少のカックンブレーキは諦めるしかないのでしょうか。
ブレーキを緩めるとセルモーターが回って再始動。
セルモーターの音は普通に聞こえますし若干の振動も伝わってきます。
軽自動車としては並ですかね。
前述の高速走行時の経験から街乗りスペシャルとして見ていくと、足回りのクオリティの高さには脱帽です。
文句無しで軽自動車で一番の乗り心地です。
N-WGNに乗った時に感じた突き上げ感は、N-WGNに限らずFFレイアウトを採用している小型車の多くで気になります。
またN-BOXのような軽スーパーハイトワゴンでは、全高が高いことに起因する重心の高さから、足回りを固めることによってロール剛性を高めたり直進安定性を高めたりするのが一般的です。
そのデメリットとして一番大きく現れるのが乗り心地の悪さ、特に突き上げ感です。
しかしN-BOXは軽自動車の域を超えた高い質感を持った足回りで、下手なBセグメントハッチバックをも凌駕すると言っても過言ではありません。
良い意味でトヨタ・カローラのような柔らかい乗り味ですが、決して走行性能が犠牲になっているわけではありません。
ロール剛性の低さは否めませんが、粘り強くタイヤが路面を掴んでくれている感覚、いわゆる接地感が高いため、ワインディングでも案外恐怖感は少ないです。
60km/hでの切り返し時など、やや頭が振られる感覚を覚える場面もありますが、そもそもそういう運転をする車ではないので、こういう重箱の隅を突くようなことはナンセンスですね。
風に煽られやすいのはボディ形状上仕方のないこととして目をつむりますが、アスファルトのわだちなどのアンジュレーションに対しての横方向の動きにめっきり弱く、ハンドルを取られてしまう挙動が気になりました。
縦方向のアンジュレーションに対しては柔軟に対応してくれるのですが…。
特に速度に比例してこの挙動が現れ、舗装の古い多車線の幹線道路を走行時にはかなり気になりました。
155/65R14という細いタイヤを履いていることも起因しているのかもしれません。
内装色はブラウン&ベージュ。
細いピラーや、ミニバン並の高いアイポイントと相まって見切りは必要十分以上!
スクエアなボディ形状ということもあって、乗り込んでわずか300mほど走行しただけで、乗りやすいと感じました。
助手席側Aピラーについている「ピタ駐ミラー」。
ドアミラー外側にも鏡がついており、それとあわせ鏡にすることで左側の前輪付近、後輪付近が確認できるようになっています。
運転席からはやや遠く鏡も小さいため、こればかり見て左に寄せていてはもっと重大なものを見落としそうではありますが、バックカメラのように「アシスト機能」として使えばとても便利になるのかもしれません。
もともと死角が少なくボディも小さい軽自動車なので私はあまり必要性を感じませんでしたが…。
フロントシートはベンチシートタイプ。
運転席ハイトアジャスターやチルトステアリングも標準装備されておりドライビングポジションの自由度は高いものの、やはりシート基準でポジションを合わせてしまうとハンドルが遠くなってしまいました。
私の体型が特殊なのか軽自動車に乗るといつもこの状況に悩まされます。
テレスコピックステアリングが欲しいところです。

シートのホールド性はほぼ皆無ですが、ベンチシートなのでこんなものでしょう。
二代目ではセパレートシートになっているようです。
私がN-BOXに乗って最大の欠点だと思ったのがリアシートです。
頭上や足元のスペースは申し分ないくらい広々としていて快適かとは思うのですが、リアシートのスライド機構がないんですありません。
ベースグレードだから設定がない、ならまだ分かるのですがこの車が登場当時は全グレードでオプション設定すらなく、リアシートは動かせないものとして販売されていました。
その代わりといってはなんですが、ホンダ・フィット(GK3)等に採用されているチップアップ機構を搭載。
リアシートを跳ね上げてまで積載したいものを運搬する機会より、運転席に座った状態で後部座席で載せた荷物を触る機会の方がよっぽど多いと思うだけに、当時のこのホンダの取捨選択には謎が残ります。
実際問題私もN-BOX試乗中にリアシートに荷物が置きにくい、取りにくいという場面を多々経験し率直に不便だと感じました。
結局リアシートのスライド機構はモデル末期にグレード別設定として追加されることとなったようです。
初代N-BOXの中古車をお探しの方はリアシートのスライド機構の有無はしっかり調べた方が良いかと思われます。
軽自動車といえど侮ることなかれ。
直進安定性が高くキャスターアクションもしっかりしていて、ハンドルセンター付近の動きもダルくなく、とても良い足回りを持っています。
また外界に対する静粛性も高く、ハンドルやフロアから伝わってくる振動もかなり少ないです。
A・Bセグメントハッチバックの中で、N-BOXより劣っている部分を持っている車はたくさんあります。
軽自動車というカテゴリの中でピカイチの出来だと素直に思いました。
特に足回りに関してはあっぱれと良いたいほど。
二代目となったN-BOXは、初代で感じた不満点をどれほど解消してくれているか気になるところです。
近所のタイムズカープラスのステーションに二代目N-BOX配備されないかな…(笑)。


試乗車データ
ホンダ・N-BOX G・Lパッケージ(DBA-JF1)
ボディサイズ:全長*全幅*全高=3,395*1,475*1,780mm
ホイールベース:2,520mm
車両重量:950kg
駆動方式:FF
エンジン型式:S07A
エンジン種類:水冷直列3気筒横置DOHCチェーン駆動吸気2排気2
総排気量:658cc
トランスミッション:無段変速オートマチック(トルクコンバーター付)
最高出力:58ps/7,300rpm
最大トルク:6.6kgm/4,700rpm
圧縮比:11.8
燃料タンク容量:35L
タイヤ:155/65R14 75S(YH・ECOS ES31)
サスペンション:マクファーソン式/車軸式
ブレーキ:油圧式ディスク/油圧式リーディング・トレーリング
JC08モード燃費:25.6km/l
最小回転半径:4.5m
価格:\1,370,000-(新車当時)

年式:平成27年7月登録
出発時ODO:72,979km
道路比率:市街地3、郊外4、高速2、山岳路1
走行距離:692.3km
使用燃料:35.9L(無鉛レギュラーガソリン)
燃費:19.27km/l(満タン法)、19.7km/l(車載燃費計)

レンタル料:\16,252-(免責補償料込)
燃料費:\5,486-
高速代:\3,770-


参考文献
N-BOX(2017年8月終了モデル)|Honda
ホンダ・N-BOX - Wikipedia
N BOX G・Lパッケージ(2015年2月) のカタログ情報(10095591)|中古車の情報なら【グーネット】
nbox_spec_list.pdf

















































































































































前席アームレストは小物入れ付き









































































後席にもスピーカーとカップホルダーを完備



















後席左右独立のアームレスト



















前席最後部でも十分すぎる広さを誇る後席足元





































ほぼ直角まで開くフロントドア



















ピタ駐ミラー























































後席チップアップ時



















ルームミラーと合わせ鏡にすることで車両後部下が運転席から確認可能





































下部が広角ミラーになっているドアミラー



















ハロゲンながら明るさは十分




















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