トヨタレンタカー / 2017.10~ トヨタ・カローラアクシオ 1.3X (FF/CVT)

今回は、先日のマツダ・アクセラに引き続き、今日の日本の自動車産業の礎を築いたと言っても過言ではない、50年にも及ぶ歴史を持つトヨタ・カローラ(アクシオ)に試乗しました。
現行160系に限っていえば、フィールダーHYBRID(中期)フィールダー1.5X(中期)には試乗して来ましたが、セダンボディのアクシオは初めてです。
先日の広州モーターショーでワールドプレミアされた新型カローラセダンとの世代交代も迫った平成最後の年末、トヨタレンタカーのキャンペーンも相まって、試乗する機会を得られました。
先代140系から、日本国内の道路・交通事情に特化した5ナンバーボディを持つ専用モデルという位置づけとなり、海外で販売されるカローラの派生モデルという扱いのため”アクシオ”のサブネームが付けられています。
またワゴンボディを持つフィールダーから開発が行われているのもポイント。
ドメスティックモデルとなったカローラアクシオを見ていきます。
今回試乗したのは、2度のマイナーチェンジを経ていわゆる後期型となったカローラアクシオ。
前期型のカローラらしい保守的なデザインは私は嫌いではなかったのですが、どうやら市場では不評だったらしく、1度目のマイナーチェンジで、最新のトヨタのデザイン言語であるキーンルックが採用され、中期型となりました。
これが功を奏してか販売台数は伸び、さらに昨年10月に、よりブラッシュアップされた後期型へとマイナーチェンジ。
既述の通り、後期型のハンドルを握るのはアクシオ/フィールダー共に初となり、パワートレインも1.3Lガソリンは初の試乗です。
搭載されるエンジンは、ダイハツが設計を担当した新開発の1NR-FE型。
初代ヴィッツや初代プリウスに採用されていたNZ型の後継機にあたります。
NZ型自体エンジンサウンドが大きめでしたが、NR型はより質が悪いというか、ヴィッツやパッソ、タンク/ルーミーなどに採用されている3気筒エンジンであるKR型に近い「ブベベベベ」といった、悪い意味で低くて太い排気音が気になります。
車内では、静粛性の高さもあってかアイドリング、走行時共に、目くじらを立てるほどではありませんが、運転席フロアやペダル越しに、エンジンのものと思われる振動が伝わって来るのが分かりました。
1.5Lエンジン搭載車が最量販グレードではあるものの、動力性能においては1.3Lで過不足無く感じました。

このエンジンに組み合わされるトランスミッションは、Super CVT-i。
近年のトヨタ車のCVTは文句なしと言えるほどにレベルが高く、ギクシャク感はほとんどありません。
電子スロットルの制御もマイルド傾向で、小型エンジンを搭載したCVT車にありがちな早開きすぎるということもなく、アクセル操作に気を使わなくて済みます。
カローラアクシオという車がゆったりとした性格であり、誰でも運転しやすいと思わせる一面です。
当代より、コストカットを理由にヴィッツなどと共通のBプラットフォームを採用。
先代140系まで採用されていたMCプラットフォームより1つ車格が小さなA、Bセグメント用ではあるものの、大きな弊害は感じられませんでした。
決して剛性感の高さや、接地感の高さを感じられるような車ではないのですが、だからといって不安感を持つ場面もなく、良い意味でカローラらしい味付けになっているのは流石だなとうなりました。
ステアリングはかなりダルめで、切り始めてからワンテンポ遅れて車体がロールしだす足回りは、好みが分かれそうではありますが、カローラの購買層を考えるとこれが正解なのでしょう。
目を三角にして限界ギリギリを攻めるような車ではありませんから。


















とはいえ、少し速度域を上げてワインディングを走行してみると…。
ステアリングを通じて得られるタイヤからのインフォメーションは皆無ではあるものの、するするとノーズが入って行き、意外にも楽しい一面を発見。
ロール量が大きい分、荷重移動が分かりやすく、ホイールベースも長いためそれなりに限界は高そうで安心して走行できました。
ただ、高速走行時、具体的には80km/hを超えたあたりからバネの収縮が収まらないようなふわふわとした挙動が垣間見え、大きなアンジュレーションを越えた際などには、大げさな表現ではありますが、リアがバウンドするような動きを見せる点は気になりました。
これは、過去にフィールダーハイブリッドに試乗した際の記事にも同じ内容を記述しています。
恐怖を感じる、というと大げさになりますが、もう少しどうにかならなかったのかなという印象です。
いくら国内専売モデルとはいえ100km/h超は想定しておいて欲しいところ。
ブレーキの制動力は可もなく不可もなくなのですが、一定の踏力でブレーキペダルを踏んでいるはずが、停止直前に想像以上に効いてしまい、本来自分が止まりたいと思う位置より手前で停車してしまうことが何度かありました。
それを避けるために効きすぎてきたなという場面で、少しだけブレーキペダルを戻すと今度は乗員にショックが伝わるくらい滑走してしまう事態に。
これはブレーキの問題というより、CVTのトルクコンバーターの問題でしょうか。
内装色はブラック。
ダッシュボードに曲線を用いている点以外は非常にシンプルで実用的な印象。
運転席に座って、精一杯身を乗り出してもボンネットは見えないのですが、少し乗っただけで車を左に寄せるのが全く苦にならないほどの車両感覚の掴みやすさには驚かされます。
シートリフターは装備されているものの、最も低いポジションにしてもセダンとは思えないほど高めのアイポイントで、Aピラーもかなり細くなっているため、ストレスフリーに運転ができます。
既述の通り、ペダル類が軽いのはもちろん、ハンドルも軽くレバーやスイッチの剛性も上々。
今となっては古典的なフロアゲートシフトや、サイドブレーキ式パーキングブレーキも身体にしっかり馴染みます。
コンフォート亡き今、カローラアクシオがベースとなったトヨタ教習車が全国の自動車学校で活躍しているようですが、運転を学ぶには最適の車かと思います。
ブラック一色のファブリック地のシートすらも、もはや懐かしく感じてしまいます。
無理に飾らない姿勢こそが、今までカローラに求められてきたものなのかもしれません。
後席は前席に比べてヒップポイントが高めに設定してあり、開放感があります。
シートの形状を見るに5名乗車は辛そうですね。
一体型のヘッドレストは少し残念。
今回は、後期型カローラアクシオを成人1~2名乗車で約480km走行しました。
2名乗車ではパワー不足を感じることもなく、ヴィッツやアクアと比べると車内も広いことから、快適に移動することができました。
主に郊外の道路を走行した時間が長いため、車載の燃費計ではJC08モード燃費を超える20.7km/lという低燃費を記録しました。
満タン法でも約20km/lとJC08モード燃費に肉薄する数字をマークしており、1.3Lガソリンエンジンとしては、十分すぎる環境性能ではないでしょうか。

既に次期型カローラセダン/ワゴンのホームページが作られており、いよいよカローラアクシオ/フィールダーの歴史に幕が下ろされようとしています。
日本人が日本人のためだけに作った車ゆえに、日本人が日本の道路を走るのにはこれ以上ないほどに最適化されていると言っても過言ではないと思うほどでした。
「スタンダード」という言葉がこれほどまでに当てはまる車はやはりカローラだけだと思います。
”グローバル”スタンダードとなる次期型カローラの登場も楽しみです。


試乗車データ
トヨタ・カローラアクシオ 1.3X(DBA-NRE160-AEXNK)
ボディサイズ:全長*全幅*全高=4,400*1,695*1,460mm
ホイールベース:2,600mm
車両重量:1,050kg
車両総重量:1,325kg
駆動方式:前輪駆動方式
エンジン型式:1NR-FE
エンジン種類:直列4気筒
総排気量:1.329L
トランスミッション:Super CVT-i(自動無段変速機)
最高出力:95ps/6,000rpm
最大トルク:12.3kgf・m/4,000rpm
燃料タンク容量:42L
タイヤ:175/70R14 84S(GY・エフィシェントグリップコンフォート)
サスペンション:マクファーソンストラット/トーションビーム
ブレーキ:ベンチレーテッドディスク/リーディングトレーリング
JC08モード燃費:20.6km/l
最小回転半径:4.9m
価格:\1,526,040-
試乗車:¥1,903,597-(諸費用込)
オプション:スペアタイヤ(応急用)(¥10,800-)エントリーナビ(\95,040-)、ビルトインタイプ<ボイスタイプ>(\14,040-)、バックガイドモニター(\17,280-)、サイドバイザー(ベーシック)(¥12,960-)、フロアマット(デラックスタイプ)(\21,600-)、トランクマット(カーペットタイプ)(¥7,560-)、三角表示板(¥2,700-)


年式:平成29年11月登録
出発時ODO:24,177km
道路比率:市街地2、郊外6、高速0、山岳路2
走行距離:478km
使用燃料:24.05L(無鉛レギュラーガソリン)
燃費:19.88km/l(満タン法)、20.7km/l(車載燃費計)

レンタル料:\13,392-(免責補償料込)
燃料費:\3,636-

単眼メーターはやや寂しい



















スポーク部ほぼ全てがホーンボタンとなっており誤爆に注意



















吊り下げ式フットペダル・フットレスト



















カーボン調シフトパネル



















スモール連動でカップホルダー上部にある小さなライトが点灯する



















助手席アッパーボックス



















ダイヤル式マニュアルエアコン



















スモール連動ブルーイルミネーション



















トランクスルー機構はなし



















開閉用ドアハンドルが無いのが気になった



















後席ニースペースはこぶし1つ



















センタートンネルはなくウォークスルーが可能



















セーフティセンス標準装備



















赤い部分が多いリアコンビランプがお気に入り



















シンプルながらまとまったデザイン



















グレードを表すエンブレムは装着されない




















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