トヨタレンタカー / 2018.6~ トヨタ・カローラスポーツ G"X" (FF/CVT)

今年6月末に、「初代コネクティッドカー」としてデビューしたカローラスポーツが早くもトヨタレンタカーに導入されたため、いち早く試乗して参りました。
北米仕様の「カローラハッチバック」が発表された時からずいぶんと話題となった、低重心でワイドなスポーティーシルエットがカッコいいですよね。
キーンルックやアンダープライオリティといった最新のトヨタのデザイン言語を反映し、精悍な印象です。

現在国内で販売されている160系カローラアクシオやカローラフィールダーは、全幅を1,695mmに抑え5ナンバーサイズを保った日本専売仕様となっています。
しかしこのカローラスポーツは欧州ではオーリス、北米ではカローラハッチバックと名前こそ異なるものの、グローバルスタンダードモデルとして販売されており、日本ではカローラルミオン以降カローラという車名を持つ車としては2台目の3ナンバーボディ車です。
全長4,375mm、全幅1,790mm、全高1,460mmと160系カローラと比べると僅かに全長は短いものの、全幅は約10cm大きく、鋭いフロントマスクと相まって迫力は十分。
いわゆるCセグメントハッチバックと呼ばれるカテゴリーに分類され、国内でのライバルはマツダ・アクセラスポーツやスバル・インプレッサスポーツとなります。
しかし本命はやはり欧州のライバル達でしょう。
CセグメントハッチバックのベンチマークとされるVW・ゴルフをはじめ、BMW・1シリーズ、MB・Aクラス、アウディ・A3スポーツバックと強豪ドイツ軍に、プジョー・308、ルノー・メガーヌなど激戦区。
曲線美溢れるリア周りの処理なんかは欧州車顔負けのカッコよさがあると思いますがいかがでしょうか。
このデザインを実現するためかリアバンパーが突出しており、Cセグメントハッチバックとしてはリアオーバーハングがやや長めなので注意が必要です。

試乗車はハイブリッドモデルのエントリーグレード「ハイブリッドG"X”」。
ハイブリッド、ガソリン共にGをベースとしたG"X"、G、G"Z"という3つのグレード展開となっていますが、普通にX、G、Zじゃダメだったんでしょうか。
ドライブは久留米を起点とした八丁峠を含む筑豊、筑後地方周遊と、大牟田への往復で総走行距離は227.6km。
道路比率は市街地3、郊外2、高速1、山岳路4で全行程ドライです。
1名乗車でエアコンAUTO、最高気温37℃を記録した猛暑日でした。
搭載されるパワートレインはプリウス(50系)やC-HRと同じ1.8Lエンジン+モーターのお馴染みTHS-Ⅱ。
ガソリンモデルもC-HRと同じ1.2Lダウンサイジングターボが搭載されます。

数字上のスペックは変更されていませんが、THS-Ⅱは新しい車に乗れば乗るほど進化が感じられて驚くばかりです。
モーターを使用する発進加速がスムーズなのはもちろん、エンジンが始動する場面やモーターとエンジンが切り替わる場面も、全くと言っていいほどショックがありません。
カローラスポーツではエンジンルームに対しての静粛性も高められているようで、走行時のエンジンサウンドもほとんど気になりませんでした。

動力性能も申し分なく、C-HRに乗った時よりもずいぶん速い車に乗っている感覚です。
C-HR比で70kg軽いボディとアイポイントの低さによるものでしょうか。
195/65R15タイヤにスチールホイールはやや寂しいですね。
装着タイヤはブリヂストンエコピア。ホイールキャップはカローラフィールダー(160系)などと共通のものです。

1,790mmのワイドなボディのお陰でトレッドが広く、リアにダブルウィッシュボーンサスペンションを採用したことにより、突き上げ感の少ない良好な乗り心地を実現しています。
路面のアンジュレーションに対してのいなし方がスマートで、完成度の高さが伺えます。
カローラ特有のふわふわ感も少なく、かといってスポーティさを追い求めたようなゴツゴツ感も無いフラットな乗り味です。

ハイブリッドG"X"ではエコ、ノーマル、スポーツの3つのドライブモードがあり、エアコンの効き、パワステの重さ、アクセルレスポンスなどがモードによって変更されます。
スポーツモードでは、程よくハンドルが重くなって安定感が増し、アクセルペダルに対するレスポンスが機敏になるため、エンジンのピックアップが良くなったように錯覚しとても楽しめます。
特にパワステの制御が良く、ワインディング走行時などは絶対にスポーツモードをおすすめしたいです。

またブレーキの操作性が非常に良く、ハイブリッド車特有の回生ブレーキの使いにくさが完璧に払拭されています。これには感動するレベルです。
強いていうならば、もう少し制動力があっても良いのかなという印象ではありますが、15インチですし必要十分かな?
スリムなAピラーを採用することで優れた前方視界が確保されており、死角になりやすい右前方の視認性は高いです。
最小回転半径5.1mと小回りも効くのですが、なぜかカローラフィールダーに乗った時の「どんなところでも行ける感」がスポイルされているのが残念。
なにがどう違うのか、私には説明できませんがカローラの「尋常ではない運転しやすさ」という最大の長所がカローラスポーツには受け継がれていないように感じました。
決してカローラスポーツが運転しにくいわけではなく、むしろ運転しやすい部類の車であることは間違いないのですが…。

インテリアデザインはC-HRに似通っている部分が多いですね。
9インチのT-Connectナビを装備することが前提となっているため、7インチのエントリーナビではナビ周りに余白が多く寂しい印象。
この化粧パネルが走行中にズレているのかミシミシと異音を発生させていたのがとても気になりました。
たまたま試乗車が化粧パネルの取り付けが悪かった可能性もありますが、全ての車で7インチナビをつけるとこの音に悩まされないといけないのはストレスが溜まりそうです。
最上級グレード以外に装備されるスポーティシートは、ホールド性高め。
疲れにくく蒸れにくいので、普通に乗る分にはスポーティシートで十分そう。
ベーシックなマニュアル6ウェイシートに、調整範囲の広いチルト&テレスコピックステアリングが全車標準装備されており、安定した運転姿勢を取りやすいです。
センターコンソールのアームレストは前後に可動するため、シートポジションによっては使いづらい、なんてこともありません。

また静粛性が高いため、エンジンサウンドはもちろん、車外の音や風切り音も車内にはあまり入って来ず、疲れにくさに良い影響を与えていると思います。
試乗車がエコタイヤを履いていたこともあってか、路面によってはロードノイズだけ大きく聞こえる場面が多々ありました。

リア5面がプライバシーガラスになっていたこともありますが、気温が35℃を超える中、一貫してエアコンの効きが良かったのも高評価です。
最上級グレード以外はシンプルなアナログメーターに、お馴染み4.2インチTFTカラーマルチインフォメーションディスプレイが装備されます。
トヨタ車ではハイブリッドなのにタコメーターがある珍しい車です。
カローラフィールダーハイブリッド(カローラアクシオハイブリッド含)がトヨタ車で初めてハイブリッドながらタコメーターが装備された車として登場しており、この辺りは今後カローラの伝統となって行くのでしょうか。
細かく目盛りが刻まれたメーターは、ヴィッツGRMNをやや彷彿とさせます。

試乗車はメーカーオプションのインテリジェントクリアランスソナーが装備されており、それに付随する機能としてブラインドスポットモニター(BSM)機能があります。
その名の通り、死角となる右後方、左後方に車両がある場合に各方面のドアミラー内に車がいることを知らせる表示が出ます。
上級車種では少し前からある機能ですが、この価格帯の車では珍しいのではないでしょうか。
私も初めて装備されている車を運転しましたが、多車線道路や高速道路の進路変更時にはとても役に立ちますね。
音が鳴るわけではないので、あって損はない機能だと思いました。
227.6kmを走行後のガソリン残量は驚くことにほんの少し減っただけ。
マルチインフォメーションディスプレイ上に表示された平均燃費は28.9km/lとかなり低燃費ですが、満タン法ではなんと31.3km/lをマーク。
あまりにもすぐにガソリンスタンドのオートストップ機能が働いてしまったため、満タンになっていないのではないかと思い、複数回オートストップを作動させてのこの燃費です。
特段燃費走行を心がけたわけでもなく、ワインディング走行では結構ハイペースで走りマルチインフォメーションディスプレイ上では一時22~23km/lまで平均燃費が落ちているのも確認したのですが、こんなにも低燃費だとは驚きました。
給油後の航続可能距離は1,200km程度と表示されており、通勤や近所の買い物などにしか利用しない場合は1ヶ月に1度も給油しない月が存在してしまうのではないでしょうか。
WTLCモード燃費が30.0m/lということで、あっさりカタログ燃費は達成してしまいましたが、乗り方次第で35km/lも夢じゃなさそうです。
エントリーグレードでこれだけのドライビングフィールと快適性が得られてしまうのは、コストパフォーマンスも高いですし購入後の満足度も高そうです。
上級グレードにはAVSがオプション設定されており、今月には待望のiMT搭載車の販売も開始され、「走りの車」としても注目されていますよね。なんてたって車名にスポーツとあるんですし。

一部報道では今後新開発の1.6Lターボエンジンや次世代THSの2L+モーターのハイブリッドが搭載されるなどとささやかれています。
初代コネクティッドカーとして、新しいカローラとして、今後の展開も楽しみですね。


試乗車データ
トヨタ・カローラスポーツ HYBRID G"X"(6AA-ZWE211H-BHXNB-S)
ボディサイズ:全長*全幅*全高=4,375*1,790*1,460mm
ホイールベース:2,640mm
車両重量:1,370kg
車両総重量:1,645kg
駆動方式:前輪駆動方式
エンジン型式:2ZR-FXE
エンジン種類:直列4気筒
総排気量:1,797cc
トランスミッション:電気式無段変速機
最高出力:98ps/5,200rpm
最大トルク:14.5kgm/3,600rpm
燃料タンク容量:43L
モーター型式:1NM
モーター種類:交流同期電動機
最高出力:72ps
最大トルク:16.6kgm
タイヤ:195/65R15 91H(BS・エコピアER150)
サスペンション:マクファーソンストラット/ダブルウィッシュボーン
ブレーキ:ベンチレーテッドディスク/ディスク
WTLCモード燃費:30.0km/l
JC08モード燃費:34.2km/l
最小回転半径:5.1m
価格:\2,419,200-
試乗車:\2,869,587-(税金・諸費用含)
オプション:ホワイトパールクリスタルシャイン(\32,400-)、スペアタイヤ(\10,800-)、インテリジェントクリアランスソナー[パーキングサポートブレーキ(静止物)](\125,280-)、エントリーナビ(\96,120-)、ETCビルトインタイプ<ボイスタイプ>(\14,040-)、フロアマット(デラックスタイプ)(\20,520-)、IR(赤外線)カットフィルム(リヤサイド・バックガラス)(\16,200-)

年式:平成30年7月登録
出発時ODO:1,550km
走行距離:227.6km
使用燃料:7.27L(無鉛レギュラーガソリン)
燃費:31.31km/l(満タン法)、28.9km/l(車載燃費計)

レンタル料:\10,368-(免責補償料込)
燃料費:\1,083-
高速代:\950-



参考文献
トヨタ カローラ スポーツ | トヨタ自動車WEBサイト
TOYOTA、新型車カローラ スポーツを発売 | TOYOTA | トヨタグローバルニュースルーム
トヨタ ご購入サポート | 見積りシミュレーション | トヨタ自動車WEBサイト
トヨタ・カローラルミオン - Wikipedia
カローラハッチバック新型(カローラスポーツ) オプションやボディカラーの情報 | 気になる車をクローズアップ
新型カローラハッチバックをCセグのライバルと比較してみる。ゴルフ/新型Aクラス/インプレッサ/1シリーズ/308/メガーヌ|MotorFan[モーターファン]

クーペのように大振りなフロントドアとドアハンドル



















前席との感覚は拳2個分ほど、足元を前席下に入れることができる



















頭上は拳1.5個分ほど



















リアドアにはカップホルダー完備



















後席中央にもカップホルダー付きアームレストがある



















樹脂製のリアハッチゲート開口部は小さめ


















後部座席は6:4分割可倒式



















荷室フロア下にはスペアタイヤと車載工具がある



















荷室左右謎のスペース



















VWを彷彿とさせるバックカメラがオシャレ



















ウレタン製3本スポークステアリング









































































コンソールボックス内にはシガーソケットとUSBポートがある





































センターコンソールのカップホルダーはコンビニコーヒーが苦手



















ブレーキホールド機能付き



















シフトセレクター奥の小物入れ



















スタートストップボタンはハンドル左側



















BSMの表示がされるサイドミラー




































































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