トヨタレンタカー / 2016.11~ トヨタ・ルーミー X”S” (DBA-M900A) 

主要諸元

型式:DBA-M900A-AGBME(S)
トランスミッション:CVT
全長:3,700mm
全幅:1,670mm
全高:1,735mm
ホイールベース:2,490mm
車両重量:1,070kg
車両総重量:1,345kg
エンジン型式:1KR-FE
エンジン種類:直列3気筒DOHC 12バルブ EFI VVT-i
総排気量:996cc
圧縮比:12.5
使用燃料:無鉛レギュラーガソリン
燃料タンク容量:36L
最高出力:69PS/6,000rpm
最大トルク:9.4kgf・m/4,400rpm
JC08モード燃費:24.6km/l
最小回転半径:4.6m
装着タイヤ:165/65R14
ホイール:14×5Jスチールホイール(樹脂フルキャップ)
サスペンション:マクファーソンストラット/トーションビーム
ブレーキ:ベンチレーテッドディスク/リーディングトレーリング式ドラム
メーカー希望小売価格:1,528,200-
試乗車両価格:1,879,577-


一昨年11月に登場した、コンパクトトールワゴン、ルーミー。
このクラスで圧倒的な強さを見せているスズキ・ソリオの対抗馬として、ダイハツが製造・販売するダイハツ・トールのOEM車です。
ダイハツ・トールを筆頭に、カローラ店トヨタ店向けOEMのトヨタ・ルーミー。トヨペット店ネッツ店向けOEMのトヨタ・タンク。そしてスバルへのOEMスバル・ジャスティを含めた、登録車としては初の4兄弟となっています。
トヨタのラインナップとしては、事実上ラクティスやbBの後継車種となり、ポルテ/スペイドよりワンランク下の車種として取り扱われているようです。

▲幅広のハイマウントストップランプが印象的。
「1LD-CAR」というコンセプトのもと、非常に小柄なボディながら広い室内空間を有しており、多彩なシートアレンジや、収納庫のようなラゲッジスペースと、さまざまな使い方が想定して作られています。
また既述の通りダイハツのOEMとなるため、随所にダイハツらしさが残っているのもこの車のポイント。
ソリオがスペーシアの5ナンバー版ならば、ルーミーはタントやウェイクの5ナンバー版と言えるかもしれません。


今回は、ベースグレードXに衝突回避システム「スマートアシストⅡ」が装備されたX"S"が配車されました。
トヨタの衝突回避システムといえば「セーフティセンス」ですが、ダイハツからのOEMのため、そのままダイハツのシステムと名称である「スマートアシストⅡ」が用いられています。
ルーミーのグレード体系は、下からX、G、カスタムGとなっており、さらにGとカスタムGにはターボエンジンを搭載したG-T、カスタムG-Tがラインナップされています。
G-T、カスタムG-TにはスマアシⅡが標準装備されますが、それ以外のNAエンジンを搭載したグレードは、スマアシⅡの有無を選択することができ、スマアシⅡ付きの場合グレード名の後に”S"が付きます。

配車されたルーミーのボディカラーはブライトシルバーメタリック(S28)。
トヨタレンタカーはボディカラーが白の車が多いイメージですが、ルーミーは白系のボディカラーがメーカーオプションのパールホワイトしかない為、シルバーとなっているのでしょうか。
今回なんと4月16日に登録されたばかりの新車で、総走行距離も247kmでした。
嬉しい誤算。
気温17~29℃の晴天の中、大人1~2名乗車で570kmほど走行しました。

エンジン・トランスミッション


搭載される1KR-FEエンジンは型式こそヴィッツ(KSP130)と同じですが、2014年にマイナーチェンジされ従来型比で、ミラーサイクルをより大きく広い領域で行いつつ、圧縮比も12.5とかなり高められており、熱効率が向上していることが分かります。

パッソ(M700A)と全く同じ69PS/9.4kgmを発生させるエンジンは、100kg以上重いルーミーではやや力不足かと思われました。
現に高速道路での合流や追い抜き等のいわゆる中間加速は、NAの軽自動車よりも苦しく感じます。
しかし街乗りユースに限って見れば、発進加速は可もなく不可もなくといった具合です。
また静粛性が非常に高く、乱暴に加速しなければエンジンノイズもほとんど気になりません。

アイドリングストップからの再始動では、通常のエンジンスタートと同じくらいセルが回るため、発進にワンテンポ遅れる点と、振動が気になりました。

直接的なライバルであるスズキ・ソリオ(MA26S)と比べた場合に、絶対的なパワーが完全に劣っている点は否めません。
ターボグレードには新開発の1KR-VETエンジンが搭載されており、数字だけ見るとソリオのK12Cを上回っていますが、価格帯を考えると難しいところです。

(ソリオG(FF/CVT)\1,454,760-、ルーミーG-T(FF/CVT)\1,803,600-)

ルーミーG"S"とG-Tの価格差が約12万円となっており、Xグレードにも165万円前後でターボエンジン搭載グレードがあると、よりソリオにとって脅威となったかと思われます。残念。

▲マニュアルエアコン。ハザードボタン左右は小物入れです。

トランスミッションは全グレードCVT。
ダイハツが製造しているためか、どうやらトヨタのSuper CVT-iではない模様。
非力なエンジンながら、パッソ比でローギアード化されたCVTにより、既述の通り街乗りでは目くじらを立てるようなことはありません。

CVT単体で見た場合、完全停車状態からの発進の際に、アクセルを踏んだ瞬間少し高めの回転域を使おうとするためか、スロットルレスポンスの悪さも相まって、自分の思う以上に加速してしまいショックが生じてしまうのが気になります。
10年前のトヨタのSuper CVT-iを思い出します;

50km/h前後で巡航時は、低い回転域を使っているようで、もともとの高い静粛性と相まって車内は非常に静かです。
逆にアクセルオフ時等に発生するCVTのベルトの音?がやや耳につきました。

Xグレードにはタコメーターが装備されていないため、具体的な回転数を見ることはできませんでしたが、インターネット上の情報によれば、ローギアード化の弊害として100km/h巡航時には2,500rpmほどエンジンが回っているようです。
1Lという排気量を考えれば仕方ないと割り切ることも必要かと思いますが、100km/h巡航でも2,500rpmもエンジンが回っているとは思えないほど車内は静かな点に驚きました。
エンジンサウンドだけでなく、風切り音やロードノイズも抑えられており、この点はソリオよりかなり快適です。
ダイハツ車はあまり乗ったことありませんが、全般的に静粛性は高いのでしょうか。

シフトレンジはP、R、N、Dの下にS、Bとなっています。
Sレンジはスポーツレンジだとか言われることもありますが、この車の場合はステップATの2レンジと考えたほうがしっくり来ます。
Dレンジはアクセルオフの時は、エンジンブレーキがあまり効かない制御になっているようです。
ワインディングの下りなどで、Dレンジのままコーナーの手前でブレーキを踏むと、自動で高い回転域を使ってくれるようになり、エンジンブレーキが効くようアシストしてくれる点は良かったです。

足回り・剛性感


165/65R14インチタイヤに5Jスチールホイールの組み合わせ。
撮影時で納車から600~700kmくらいしか走っていないと思われますが、ずいぶんとブレーキダストが多い点が気になりました。
どうやら、最近のタントやムーヴもブレーキダストが多いようです。
欧州車のような柔らかいブレーキパッドが採用されているのかもしれませんね。

新車装着タイヤはダンロップのエナセーブ。エコタイヤです。
1インチアップの15インチアルミホイールが奢られるのは最上級グレードのカスタムGとカスタムG-Tのみ。
ロードノイズが少なく静かなタイヤでした。


サスペンションはフロントマクファーソンストラット、リアトーションビームの小型FF車では定番の構成。
ムーヴやタントで熟成されたDサスペンションは、ルーミー用に最適化されたものが装備されており、特に高速走行時の直進安定性はライバルであるソリオを凌駕するだけでなく、国産Bセグメントとしてはトップクラスと言っても過言でない水準を実現しています。
見かけによらず、速度を上げれば上げるほど直進安定性が増すのには驚きました。

ロール量は全高も影響してかやや大きめ。
ハンドルの入力からワンテンポ遅れて旋回を始めるような挙動は、あまり褒められたものではありませんね。
試乗開始時は走行距離が250kmにも達しておらず、まだ各部が馴染んでいなかった為かややアンダーステア気味の印象でしたが、距離を重ねるうちに狙ったラインをトレースしやすくなるばかりか、大袈裟に表現するとタックインのような挙動も垣間見える意外な性格の持ち主でもあります。

これだけ背の高いボディに両側スライドドアの為、剛性感の乏しさは仕方ないと割り切ったほうが良さそう。
交差点の右左折時等のハンドルの戻りの悪さは気になりました。
意識して自分でしっかりセンターまで戻さないと、永久に旋回し続けてしまいそうなほど。
もう少し距離を重ねると良くなるのかもしれませんね。

インテリア・コックピット


Xグレードの内装はブラックのファブリック表皮。
どことなくウェイク(LA700S)のようなスクエアを基調としたインテリアです。


ダイヤル式のマニュアルエアコンは一見商用車のようにも見えてしまいますが、操作性は抜群です。
室内空間が広く窓も大きいためか、エアコンの効きはやや難ありです。
ベースグレードらしく、プラスチッキーなセンタークラスターパネルとシフターが採用されています。


センタークラスターパネル下部には脱着式の小物入れがあります。
公式が「脱着式大型センターダストボックス」と呼んでいるため、ここはごみ箱のようです。


運転席・助手席に装備されるカップホルダーは格納式です。
格納時にはスマートフォンを収納しておけるという優れもの。
しかしエアコン吹出口が近いため、エアコン使用時にはスマートフォンが暖かくなったり冷たくなったりするので注意が必要です。


ダッシュボードはステッチ入りのレザー風な仕上がり。
プラスチックです。


部分的に塗り分けられた内装は、上質感を演出するのに一役買ってそう。
Xグレードでは、左側のみパワースライドドアです。


ベーシックなウレタン3本スポークステアリングホイール。
メーカーオプションのナビを装備することで、ステアリングスイッチが追加されます。

走行中のハンドルは軽自動車の如く軽いのですが、駐車時等の極低速時はやや重く、パワステの容量不足が気になります。


ウェイク(LA700S)でも採用されているクリック式のウインカーレバーはやはり慣れません。
またウインカーの戻りも遅いように感じます。
スリーターンシグナルが装備されている点は便利で良かったです。
点灯時の音は軽自動車のような電子音でした。


パーキングブレーキはフット式。
ザラザラした路面等では、ペダルの振動が気になりました。
停車前アイドリングストップ機能であるeco IDLEによって、カックンブレーキになりやすいのが難点です。


運転席正面に位置する単眼アナログメーターは非常にシンプル。
インパネ中央にはLCDのマルチインフォメーションディスプレイ。
Gグレード以上ではTFT液晶となるため、Xグレードではやや寂しい印象です。
後席のシートベルト警告灯も装備されています。


ヴィッツ(KSP130)らと同じオレンジイルミネーションが採用されています。


フロントシートはセパレートとなっており、前後左右のウォークスルーが可能となっています。
ステアリングホイールのチルト機構と合わせて、ドライバーズシートはシート位置の前後、シートバックのリクライニング機構を持った4wayシート。
シートの上下アジャスター機構はXグレードではメーカーオプションとなっています。
多くの小型車でシートリフターはベースグレードでは省かれることが多いですが、メーカーオプションとはいえ設定があるのは良いですね。

アイポイントが高く、スクエアなボディなため非常に見切りは良いです。
Aピラーも比較的起きており、運転していて見づらいと思う場面はありませんでした。
ただ、シートの前後可動域がやや狭く、ハンドルとペダルも近いためか、身長167cmの私でシートは最も後ろがちょうど良いポジションでした。
軽自動車ほどではありませんが、長身の方はやや窮屈かもしれません。

シートのホールド性は皆無に等しく、ロール量が大きい車体と相まって、横方向に大きく力がかかる場面では身体を自分自身で支える必要があります。
アームレストはXグレードには設定がありません。

▲画像左奥、偶然にもルーミカスタムGが写り込んでいます。

ドアハンドルポケットは、ややえぐられた形状となっており、腕を置く際にストレスとならないような配慮がなされています。
1,670mmという全幅の中、目一杯室内空間を広げようと努力していることが分かります。

リアシート・ラゲッジルーム


両側スライドドアを持つルーミー。
Xグレードでは助手席側のみパワースライドドアです。


全長3,700mmとは思えないほど広々としたリアシート。
乗り込み高さ366mmの低床フロアと、乗降用大型アシストグリップのお陰で、非常に乗降性は高いです。


リアシートはスライド機構付き。


後席ステップランプは夜間の乗り降り時等、威力を発揮しそう。
Xグレードは助手席側のみ装備されます。


後席左右にボトルホルダー付きトレイ式デッキサイドトリムポケットがあります。
Xグレードでは左側にデッキサイドランプも装備されており、さまざまな用途に使えそうです。


格納式リアドアサンシェードは、スモークフィルムの代わりにもなって便利です。
もちろんサンシェードを使用した状態でスライドドアの開閉もできます。


リアシートを一番後ろまで下げた場合のラゲッジルーム。


リアシートは240mm前後するため、一番前に出すだけでこれだけのスペースが生まれます。


リアシートは6:4分割の可倒式となっており、さらにそのまま前方へとダイブイン格納が可能。
自転車やカーペット等の長物も積載できます。

ちなみにダイブイン状態では運転席、助手席共に一番後ろまでシートを下げることはできませんでした。
今回はヘッドレストをつけたままダイブインしたため、ヘッドレストの有無によってシートの可動域は変わるかもしれません。

総評

▲ハロゲンながら明るさは十分。カスタムGのLEDはカッコいい。
打倒ソリオと言わんばかりのルーミーは、発売前から密かに注目していました。
しかし蓋を開けてみれば、後発なのにソリオに劣るといった話ばかり。
私自身、ソリオはMA15S、MA26Sと何度か乗ったこともあり、あのサイズでのパッケージングや価格帯など、非常に魅力ある車だと前々から思っていました。
そんな中、マイナスなイメージを多く抱いたまま今回の試乗に至り、そのイメージは大きく覆されました。

試乗したグレードがNAのベースグレードだったこともあり、エンジンの非力さは否めません。
しかし、非常に高い次元の静粛性と直進安定性は間違いなくソリオを超えており、Bセグメント全体で見てもかなり優秀な一台です。正直驚きました。
軽自動車に毛が生えたような車と評されることもありますが、ルーミーの真価が発揮されるのは意外にも高速走行時だったのです。
街乗りでの取り回しの良さはもちろん、たまの遠出にも十分活躍できるだけのポテンシャルは秘めています。

トヨタというブランドバリュー、カスタムグレードの展開などで大きく販売台数を伸ばしているのも事実かと思いますが、ソリオと購入を検討した場合、トヨタの思惑通り非常に手強いライバルであるのは間違いないでしょう。


最後に燃費です。
560km走行した際にマルチインフォメーションディスプレイ内に表示された平均燃費は16.7km/l。
試乗を開始し、80kmほど郊外の道路を走行した時点では平均燃費が20km/lを超えていましたが、高速道路を走行したり近距離の移動を重ねた結果、最終的にこの数字となりました。
試乗開始時のマルチインフォメーションディスプレイに表示された航続可能距離は565kmで、560km実走行後の航続可能距離は18kmと、概ね車が算出した通りの燃費で走行できたのではないかと思います。
給油機のオートストップで30L給油されたため、残り5L前後で給油ランプが点灯するようです。
満タン法での燃費は18.44km/lでした。



参考文献

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