トヨタレンタカー / 2018.1~ トヨタ・ヴェルファイア X (DBA-AGH30W)


主要諸元

型式:DBA-AGH30W-NRXGK
トランスミッション:自動無段変速機(Super CVT-i)
全長:4,935mm
全幅:1,850mm
全高:1,935mm
ホイールベース:3,000mm
車両重量:1,920kg
車両総重量:2,360kg
エンジン型式:2AR-FE
エンジン種類:直列4気筒DOHC16バルブデュアルVVT-i
総排気量:2,493cc
圧縮比:10.4
使用燃料:無鉛レギュラーガソリン
燃料タンク容量:75L
最高出力:182PS/6,000rpm
最大トルク:24.0kgf・m/4,100rpm
JC08モード燃費:11.6km/l
最小回転半径:5.6m
装着タイヤ:215/65R16 98H YOKOHAMAブルーアースE51
サスペンション:マクファーソンストラット/ダブルウィッシュボーン
ブレーキ:ベンチレーテッドディスク(16インチ)
メーカー希望小売価格:3,354,480-
試乗車両価格:3,779,037-(内税金・諸費用208,557-)


トヨタのフラッグシップミニバンであるアルファード/ヴェルファイア。
2002年に登場した10系から数えて3代目、30系が2015年にデビューし3年が経過した今年1月、マイナーチェンジが施されました。
内外装の意匠変更も注目すべき点のひとつですが、今回のマイナーチェンジの目玉は第2世代版「トヨタセーフティセンス」が全グレードに標準装備されたこと。

アルファード/ヴェルファイアのマイナーチェンジにあたって、トヨタレンタカーが早速マイナーチェンジ後の新型モデルを導入したのは、メーカー直系レンタカー事業の強み。
先月26日より、アクアGR SPORTと入れ替わる形でスタートし、今月末まで車種指定オプション料金が無料となるキャンペーンが行われています。


アルファード/ヴェルファイア共にキャンペーンの対象となっており、どちらも車種指定オプション料金無しでレンタルすることが可能です。
今回はヴェルファイアしか空車が無かったため、ヴェルファイアをレンタルしました。

トヨタレンタカーのキャンペーンバナーの画像には、標準ボディのアルファードとエアロボディのヴェルファイアが掲載されているため、エアロボディが配車されるのかな?なんて期待していましたが…。

標準ボディとはいえ、ヴェルファイア伝統の上下分割式ヘッドライトや、ふんだんにメッキパーツが使用されたフロントマスクは存在感があります。
マイナーチェンジでナンバープレート周辺がメッキ化され、フォグランプもトライアングルシルエットへと変更されており、よりシャープな印象となりました。


リアコンビネーションランプやリアガーニッシュもマイナーチェンジで意匠変更が行われています。
ヴェルファイアのみに採用されているクリアテールは、黒のボディだと映えますね。

今回、ヴェルファイアのエントリーグレードであるXが配車されました。
エントリーグレードといえど、車両本体価格は330万円を超える高級車です。
2.5Lガソリンエンジン搭載のFF、8人乗り。
ボディカラーはブラック(202)です。
黒系のボディカラーのレンタカーって珍しいですよね。

平成30年2月に登録されたばかりで、出発時のODOメーターはまだ1,768km。
気温8~14℃の晴天の中、大人1~2名乗車で250kmほど走行しました。

エンジン・トランスミッション

▲V6エンジンが搭載されることが前提な為、スカスカ感は気になります。

30系より、搭載される直列4気筒エンジンが2.4Lの2AZから2.5Lの2ARへと置換されました。
これにより、20系比で騒音や振動が低減され、燃費も向上しています。

やはり車両本体価格が330万円を超える車ということもあってか、静粛性が高く、車内は非常に静かで、エンジンノイズはほぼ気になりません。
乾燥重量で1.9tと大きなボディを持っていますが、1~2名乗車では非力さを感じる場面もありませんでした。
60km/hで走行時、タコメーターは1,500rpm付近を指し示しており、余裕が感じられます。

▲もはや時代遅れとまで言われるゲートシフトですが、やはり私はこの見た目と操作感が好きです。

トランスミッションは定評のあるSuper CVT-iに、7速スポーツシーケンシャルシフトマチックを搭載。
トヨタのCVTは非常に完成度が高いことで有名ですが、ヴェルファイアに搭載されているミッションも例に漏れず優秀です。
発進から高速巡航まで、不自然なショックやギクシャク感を感じることなく走行することができました。
スポーツシーケンシャルシフトマチックも、反応が良く十分遊べます。
強いて言えばアップとダウンは逆にして欲しい…。

一点、おそらくCVTのベルトの音だと思われるシュルシュル音が気になりました。
耳を傾けて意識しないと聞こえないレベルではありますが、一度気になりだすとダメで、私は最後まで気になりました。

足回り・剛性感


30系より、リアのサスペンションがトーションビームからダブルウィッシュボーンへと変更され、四輪独立懸架となったことはあまりにも有名。
ヴェルファイアの乗り心地を一言で表すならば「良い」です。
重い車体が良い影響を与えているのか、バタバタせずどっしりとした乗り心地です。
特にフロントのサスペンションが優秀で、運転席・助手席の乗り心地は抜群に良く感じました。
1.9mを超える全高を誇りますが、ロール感も少なくしっかりと接地しているのを感じることができます。

エアロボディは18インチタイヤが標準装備となりますが、標準ボディのXは215/65R16インチタイヤ。
扁平率の高さが乗り心地の良さへと繋がっている部分もあるのかもしれませんが、やはり65R16インチは少し寂しいですね。
装着されていたブルーアースE51はややロードノイズが大きめでした。

6本出しマフラーが話題となりましたが、マフラーはひっそりとボディ下に隠れています。

インテリア・コックピット


エントリーグレードとはいえ、本皮巻きステアリングが奢られ、木目パネルやメッキ処理がなされたインパネは、やはり「高級車」であることを再確認させてくれます。


自発光式2連メーターの中央に位置する4.2インチのTFTカラーディスプレイには、トリップやレーントレーシングアシストの作動表示、後席エアコン状態など様々な情報を表示させることができ、ハンドルのスイッチで操作することが可能です。
近年のトヨタ車に多く採用されているこのマルチインフォメーションディスプレイですが、視野性、操作性共に良くて便利です。

今回レンタルしたヴェルファイアには7インチのエントリーナビが装備されていましたが、9インチ、10.5インチナビもラインナップされています。
それゆえ7インチナビでは余白が気になりました。
9インチや10.5インチナビを装備すると改善されるのかもしれませんが、7インチナビの場合はナビ本体が上に向かって角度がついており、反射の影響も受けやすいためやや見づらい場面がありました。
ちなみに10.5インチナビは、約30万円します。



キーレスエントリー・スタートシステムは全車標準装備。スタート・ストップボタンは右側です。
ETCはスタート・ストップボタン下部の小物入れの中に装備されるため、カードを挿入したままにしておいても安心ですね。

ブレーキペダルのタッチはマイルドで、カックンブレーキを気にすることなく運転できます。
停車時にはブレーキのストロークが浅くなり、足を乗せているだけで十分なブレーキ力を維持してくれているよう。
また、シフトレバー横のホールドボタンをブレーキペダルを踏んだ状態で押すことで、ペダルから足を離しても自動的にフットブレーキがかかった状態を維持してくれるブレーキホールド機能付き。
長い信号停車や渋滞時に活躍してくれそうです。
電動パーキングブレーキも標準装備。


インテリアカラーはフラクセンのファブリック生地。Xは他に選べません。
アームレスト付き6ウェイマニュアルシートは、シートリフターの可動域が大きく、運転する人を選ばない印象です。
シートリフターを一番下まで下げると、ベルトラインやダッシュボードが高い位置に設定されているため、包み込まれる感覚が大きく、高級感・安心感を演出してくれます。

シート自体が大きく、座面のクッション性も高いため、長距離の移動も身体への負担は少なそう。


前席中央に位置するセンターコンソールボックス。
Xは最もコンパクトなセンターコンソールボックスが標準装備となるため、運転席・助手席のウォークスルーが可能です。
コンソールボックス自体も深さがあり、収納力は十分です。


全長5m弱、全幅1.9m弱のヴェルファイア。数字だけ見るとFセグメントセダンと遜色ないほど大柄なボディです。
しかし直線基調で、でっぱりの少ないボディ形状ゆえ、想像以上に車両感覚を掴むのは容易です。
ハンドルが軽く、Xは16インチタイヤのため最小回転半径が5.6mと小回りもそこそこ効くため、内輪差さえ注意すれば狭い道路でも難なく運転できます。
ボンネットが短く、リアウィンドウから見える景色がボディの後端、さらに前後左右窓も大きく多いため、目視でしっかり確認でき安心して運転できます。

私も最初は不安でしたが、少し家の近所を走行しただけで車両感覚を掴むことができました。

今回レンタルしたヴェルファイアにはメーカーオプションのデジタルインナーミラーが装備されていました。
日産のインテリジェントルームミラーとほぼ同等の装備で、慣れてしまえば非常に見やすくて便利な代物です。


16色のカラーバリエーションを搭載したLEDルーフカラーイルミネーションも全車標準装備。
夜間に点灯しているとインパネのメッキ部分にも反射します。
運転席からハンドルのスイッチとマルチインフォメーションディスプレイを使って、点灯・消灯、色の変更が行えます。

後部座席


Xでは左側のみパワースライドドア。
右側は手動となりますが、イージークローザーは装備されています。
「ピーピッピッピッピー」といった作動警告音はいつの頃からか鳴らなくなったのですね。


8人乗りのため、2列目3列目共にベンチシート。
とはいっても快適に乗車できるのは各列2人ずつの6人が限界でしょうか。
3列目へのアクセスは2列目下の専用レバーを引いて行います。
3列目シートはシート幅が狭くクッションも薄いため、長時間の乗車は辛そう。
とってつけたような3列目中央のヘッドレストは非常に不格好です。


本当にヘッドレストどうにかならなかったのでしょうか…。
リアハッチは非常に大きく重い上に、しっかりと勢いをつけて閉めないと半ドアになりやすいです。
Xにはパワーバックドアのオプション設定もありません。


3列目シートを左右に跳ね上げることで大きな荷室を作ることも可能です。
シートの跳ね上げも簡単にできるので便利。
また、3列目下に世界初となる148Lの収納スペースが設けられています。
オプションのスペアタイヤを購入するとここに入れられるよう。
スペアタイヤを入れても十分スペースがあるので、いろいろと活用できそうですね。


もちろん3列目シートは、半分だけ跳ね上げることも可能。
乗車人数や積載する荷物などに合わせて多彩なシートアレンジができます。
シートを跳ね上げた時の視野性の悪化もあまり無いように感じました。

第2世代版「トヨタセーフティセンス」

▲ロケ地:宗像大社(福岡県宗像市)

先進の予防安全パッケージ、トヨタセーフティセンスの第2世代版がマイナーチェンジにより全車標準装備となりました。

・ハンドル操作サポート「レーントレーシングアシスト(LTA)」
・自動ブレーキ「プリクラッシュセーフティ」
・追従ドライブ支援機能「レーダークルーズコントロール」
・自動ハイビーム「オートマチックハイビーム(AHB)」
・標識読み取りディスプレイ「ロードサインアシスト(RSA)」
・先行車発進アラーム「先行車発進告知機能(TMN)」

これら6つの先進技術が1つのパッケージとなったのがトヨタセーフティセンスです。
LTAやプリクラッシュセーフティ、AHB、TMNはトヨタセーフティセンスCのパッケージに含まれており、今までに何度も利用して来ました。
レーダークルーズコントロールはトヨタセーフティセンスPに含まれていましたが、LTAとRSAは今回新たに採用されています。
RSAは既にホンダセンシングなどでお馴染みの、カメラで読み取った標識をメータ内、ヴェルファイアの場合はマルチインフォメーションディスプレイに表示する機能です。

第2世代版トヨタセーフティセンスで一番の目玉は、やはり進化したレーダークルーズコントロールとLTAでしょう。
比較的カーブの少ない福岡前原道路と、交通力が多くRのきついカーブも多い福岡都市高速環状線で試してみました。

高速に乗りクルーズコントロールを設定すると、自動で前を走る車を認識して追従してくれます。
クルーズコントロールの設定速度内で、前走車との車間距離を一定に保ちながら速度を調整して走行してくれます。
緩やかなカーブに差し掛かると、ハンドルが重くなり自動で曲がって行くのが感じられました。
かなり不思議な感覚です。
ちなみにハンドルから手を離すと警告が出て、LTAが解除されてしまうので常にハンドルは握っておく必要があります。
あくまでハンドル操作サポートという位置づけです。

よりきついカーブが多く存在する福岡都市高速環状線では、やはり自分で切り増す必要がある場面も。
事故多発地帯でもある百道カーブでは、流れが遅くなり速度が落ちていたこともあってか、LTAだけで曲がれて驚きました。

対面通行になるとやや車線の右寄りを走る制御になっており、ヒヤヒヤしてLTAを解除してしまいました。

▲ロケ地:スーパーモリナガ唐津店(佐賀県唐津市)

30kmほどレーダークルーズコントロールとLTAを使用した走行を試してみましたが、レーダークルーズコントロールの完成度はかなり高いのではないでしょうか。
全くと言っていいほどアクセルもブレーキも操作することなく、自然に走行することができました。
LTAも、都市高速のような特殊な道路はどうしてもカバーしきれないカーブが存在しますが、一般的な高速道路と呼ばれる道路では9割以上問題なく走れるのではないかと思います。
九州道で試してみるべきだったとやや後悔しています。

追従機能のないクルーズコントロールでも、高速道路を走行時にあるとかなり便利ですが、レーダークルーズコントロールとLTAがあれば、劇的に身体への負担が軽減されるのではないかと思います。


ヴェルファイアの真価は夜にこそ発揮されると言っても過言ではありません。
2眼LEDヘッドランプとLEDクリアランスランプによる存在感は強烈です。
オートマチックハイビームはトヨタセーフティセンスのパッケージに含まれているため標準装備。
アダプティブハイビームシステムとLEDシーケンシャルターンランプはXにはオプション設定もありません。残念。

総評


久留米から3号線で宗像を経由し、東区へ。
香椎東ランプから福岡都市高1号香椎線、環状線内回りを経由して福岡前原道路前原東ランプまでレーダークルーズコントロールとLTAを使用して走行。
202号線で唐津を経由し、34号線で久留米まで約250kmの走行となりました。
途中エアコンを使用することもあり特段燃費走行を心がけたわけではありませんが、マルチインフォメーションディスプレイに表示された平均燃費は13.1km/l。
満タン法でも12.62km/lとなかなかの低燃費具合に驚きました。

ほぼ空気輸送状態であったことを顧みても、3号線や34号線で渋滞にハマっていたにも関わらずJC08モード燃費を上回る実燃費は凄いのでは。
一部ではヴェルファイアの弟分的存在でもあるヴォクシーよりも低燃費と言われているようです。


さて、当ブログ史上最も新車価格の高価な一台となりました。
今まで私の運転したことのある車の中でも上位に位置します。
「ミニバン界のクラウン」と称されることもあるアルファード/ヴェルファイアですが、確かにその通りかもしれません。
330万円という価格は決して安くはありませんが、存在感や重厚感に加えこの高級感を持ってすれば価格相応、若しくは価格以上のクオリティだと言っても過言では無いのではないでしょうか。
下手な5ナンバーサイズのミニバンよりしっかりと作り込まれているため、安心感はもちろん、かえって運転のしやすさも勝っているのではないかと思うほどです。
また、2.5Lグレードは中古でも非常に人気が高く、下取り価格も期待できるそう。
売ることを考えて車を買うなんて、と言われそうではありますが、高い車だからこそ下取り価格も大事になってくるのではないでしょうか。
今回の記事を編集するにあたっての私の比較対象が、マツダ・ビアンテ(CCFFW)ホンダ・フリード(GB5)トヨタ・シエンタ(NHP170G)辺りのヴェルファイアと比べて小さめのミニバンしか無かったため、やや過大評価な部分はあるかもしれません。
今後ミニバンにも食指を向けて行きたく思います。


参考サイト

使用サイト

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